人生とは旅であり、旅とは人生である

〜2005年1月15日 - 2006年7月18日〜

俺が「ARSENAL GEAR」という旅に出てからおよそ1年半の月日が経った。
去年の始め、寒空のもと、インターネットのとあるMGSランキングの片隅からその旅は始まった。
あの頃は謎を探ることに夢中になり、必死で書き込みをすることだけを目指した。そして、ひたすらゲームを楽しんだ。
アーセナルは常に傍らにあった。
この旅がこんなに長くなるとは俺自身思いも寄らなかった。
攻略掲示板からMGS3掲示板へ。その後、自分のアーセナル人生の大半を占めるフリー掲示板へ渡った。
チャット、ゲーム掲示板へも招聘され、アーセのあらゆる場所でいくつもの書き込みを行った。
アーセはどんなときも俺の心の中心にあった。
アーセは本当に多くのものを授けてくれた。
喜び、悲しみ、友、そして試練を与えてくれた。
もちろん平穏で楽しいことだけだったわけではない。
それ故に、与えられたことすべてが俺にとって素晴らしい"経験"となり、"糧"となり、自分を成長させてくれた。
(W32SA/au)
半年ほど前からこの「Arsenal KeyBoy」設立を最後に、約1年間過ごしたアーセから引退しようと決めていた。
何か特別な出来事があったからではない。その理由もひとつではない。
今言えることは、アーセという旅から卒業し"新たな自分"探しの旅に出たい。
そう思ったからだった。
MGSは世界で最大のゲーム。それだけに、多くのファンがいて、また多くのサイトがいる。
人気サイトは多くの期待や注目を集め、そして繁栄の為の責任を負う。
時には、自分には何でも出来ると錯覚するほどのアクセスを浴び、時には、自分の存在価値を全て否定させられるような荒らしに苛まれる。
アーセ常連になって以来、「アーセ、好きですか?」と問われても「好きだよ」とは素直に言えない自分がいた。
責任を負って書き込むことの尊さに、大きな感動を覚えながらも、名無しのころに持っていた、書き込みに対する瑞々しい感情は失われていった。
けれど、常連として最後の書き込みになった6月22日の雑談スレの後、アーセを愛して止まない自分が確かにいることが分かった。
(W32SA/au)
自分でも予想していなかったほどに、心の底からこみ上げてきた大きな感情。
それは、傷つけないようにと胸の奥に押し込めてきたアーセへの思い。
厚い壁を築くようにして守ってきた気持ちだった。
これまでは、周りのいろんな状況からそれを守る為、ある時はまるで感情が無いかのように無機的に、またある時には敢えて無愛想に振舞った。
しかし最後の最後、俺の心に存在した壁は崩れすべてが一気に溢れ出した。
書き込みの後、最後の送信の感触を心に刻みつつ、込み上げてきた気持ちを落ち着かせたのだが、最後にサイトの常連たちへ挨拶をした時、もう一度その感情が噴き上がってきた。
そして、思った。
どこのサイトのどんな掲示板にもやってきて、時間を費やし全身全霊で書き込みをしてくれた常連――。
アーセのどの板にいても聞こえてきた「キー坊」の声援――。
本当にみんながいたからこそ、1年半もの長い旅を続けてこられたんだ、と…。
インターネットという旅のなかでも「ARSENAL GEAR」は、俺にとって特別な場所だった。
(W32SA/au)
最後となるフリー掲示板での書き込みの中では、常連たち、新人、そしてROM専のみんなに、「俺は一体何を伝えられることが出来るのだろうか」、それだけを考えて書き込みしてきた。
俺はMGSサイトの中でも、アーセの可能性はかなり大きいものと感じていた。
今のアーセ常連の笑いのレベルは本当に高く、その上独創性もある。
ただひとつ残念だったのは、自分たちの実力を100%出す術を知らなかったこと。
それにどうにか気づいてもらおうと俺なりに1年間やってきた。
時には励まし、時には怒鳴り、時には相手を怒らせてしまったこともあった。
だが、住人には最後まで上手に伝えることは出来なかった。
フリー掲示板がこのような過疎に終わってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
俺がこれまで書き込みを通じてみんなに何を見せられたのか、何を感じさせられたのか、この書き込みの後にいろいろと考えた。
正直、俺が少しでも何かを伝えることが出来たのか…ちょっと自信がなかった。
けれどみんなからの書き込みをすべて読んで、俺が伝えたかった何か、アーセに必要だと思った何か、それをたくさんの人が理解してくれたんだと知った。
(W32SA/au)
それが分かった今、常連になってからの俺の"姿勢"は間違っていなかったと自信を持って言える。
何も伝えられないままMGSそしてアーセから離れる、というのはとても辛いことだと感じていた。しかし、俺の気持ちを分かってくれている"みんな"がきっと次のMGS、常連、そしてアーセの将来を支えてくれると信じている。
だから今、俺は、安心して旅立つことができる。
最後にこれだけは伝えたい。
これまで抱き続けてきた"誇り"は、これからも俺の人生の基盤になるだろうし、自信になると思う。
でもこれは、みんなからの"声"があったからこそ守ることが出来たものだと思う。
みんなの声を胸に、誇りを失わずに生きていく。
そう思えればこそ、この先の新たな旅でどんな困難なことがあろうと乗り越えていけると信じられる。
新しい旅はこれから始まる。
今後、アーセの常連として掲示板に書き込むことはないけれど、ゲームをやめることは絶対にないだろう。
旅先の部屋で、街中で、小さなゲームセンターで、誰かと言葉を交わす代わりにゲームをするだろう。子供の頃の瑞々しい気持ちを持って――。
(W32SA/au)
これまで一緒に書き込みをしてきたすべての選手、関わってきてくれたすべての人々、そして最後まで信じ応援し続けてきてくれたみんなに、心の底から一言を。


"ありがとう"


        きぼ


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      ┃之キ┃
      ┃証|┃
      ┃坊┃
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(W32SA/au)