†晒しの楽園†
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7 き何故、生活保護の不正受給は増えているのか。
活保護の不正受給件数金額とも過 去最悪 3月16日 16時10分 NHK配信 働いて得た収入を申告しないなど生 活保護の不正受給が明らかになった件 数は平成24年度、全国でおよそ4万 1000件、金額は190億円を超 え、件数、金額ともに過去最悪になっ たことが厚生労働省のまとめで分かり ました。
厚生労働省によりますと、平成24 年度、明らかになった生活保護の不正 受給は、全国で4万1909件で、前 の年度より6341件増えました。 金額は190億5372万円で前の 年度より17億円以上増えて、件数、 金額ともに過去最悪となりました。 また、自治体から警察へ被害届を出 したり告発したりした件数は109件 で、これまでで最も多くなりました。 不正受給の具体的内容では、働いて 得た収入を全く申告しなかったケース が最も多く、全体の47%を占めたほ か、次いで年金を受け取っているのに 申告しなかったケースが21%、働い て得た収入を実際より少なく申告した ケースが11%となっています。 不正受給が過去最悪になったことに ついて、厚生労働省は「自治体が不正 受給を防ごうと、受給者の収入などを 調査する態勢を強化したためではない か」と話しています。
ニュースを見聞きすると、「不正受給者が 増加している!とんでもないことだ!」とお 怒りになる方も多いだろう。 これだけを知るとわたしも同感だ。生活保 護を不正に受給しているなんて絶対に許せな い。
しかし、ちょっと待ってほしい。 毎回、報道される生活保護不正受給の金額 件数は、どのように把握されているか、ご存 じだろうか?
まず不正受給行為とは、一般的に、生活保 護法78条にあたる行為と解釈されている。
第七十八条 不実の申請その他不正 な手段により保護を受け、又は他人を して受けさせた者があるときは、保護 費を支弁した都道府県又は市町村の長 は、その費用の全部又は一部を、その 者から徴収することができる。
要するに、事実ではない申請や不正な手段 で受けた保護費は返還しなければならない。 それはその通りで、当たり前だろう。これ に該当するのが、不正受給である。
そして、生活保護法85条にはそれが刑事罰 の対象になることが記載されている。
第八十五条 不実の申請その他不正 な手段により保護を受け、又は他人を して受けさせた者は、三年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。た だし、刑法(明治四十年法律第四十五 号)に正条があるときは、刑法によ る。
しかし、私が所属するNPO法人ほっとプラ スに寄せられる相談は、故意や悪意がなく、 過失による申告忘れや生活保護法の無理解に よる届出忘れが多数報告されている。
要するに、生活保護受給者の悪意がない行 為によるものだ。 皆さんも日常生活を送る上で、期日内に報 告や届け出を忘れてしまうことがたまにある だろう。
それに対して、悪意があるものとみなし、 不正受給金額件数にカウントし、刑事罰の対 象として、生活保護受給者を追いやることが 適しているのだろうか。
生活保護法には刑事罰の対象とならない63 条返還義務も規定している。
第六十三条 被保護者が、急迫の場 合等において資力があるにもかかわら ず、保護を受けたときは、保護に要す る費用を支弁した都道府県又は市町村 に対して、すみやかに、その受けた保 護金品に相当する金額の範囲内におい て保護の実施機関の定める額を返還し なければならない。
本来は、不正受給金額件数としてカウント するのではなく、支給しすぎた保護費を返還 してもらえるように、指導指示をすればよい はずだ。 この生活保護法63条返還か、78条返還かに よって、その意味合いは大きく違うし、生活 保護不正受給金額件数も大きく変わる。 どちらの条文で返還を求めるか、各自治体 ではさまざまな解釈がされていて、判断が分 かれるところだ。
また、福祉事務所の職員が多忙なため、申 告の確認忘れや口頭による指示・説明が不足 したために、不正受給にカウントされる事例 もあとをたたない。
要するに、この生活保護不正受給金額件数 はそもそも行政によって作為的な意図がある 統計データであると認識しておくことが重要 だろう。 そして、正確な金額件数ではないといえ る。報道に右往左往させられない視点が大事 だ。
厚生労働省は、生活保護不正受給とは何を 指していて、どのような場合に78条を適用す べきか、はっきり明示し、福祉事務所への指 導監督を強化すべきだろう。 現場には、福祉事務所の恣意的な運用がは びこっていて、故意や悪意がないままに、不 正受給とカウントされた生活保護受給者が後 を絶たない。
危機感を持っているのは、私だけではな く、日本弁護士連合会も同様だ。 日本弁護士連合会は、生活保護に関連する 広報チラシを作成し、生活保護不正受給に対 し、以下のように述べている。
不正受給の件数や金額が年々増え、 不正受給が横行しているかのような報 道がされています。しかし、不正受給 の件数などが増えているというよ りも、生活保護利用者が増えている ことに伴う数字の変化というべきで しょう。不正受給の割合でみると、件 数ベースで2%程度、金額ベースで 0.4%程度で推移しており、大きな変 化はありません。また「不正受給」と されている事例の中には、高校生の子 どものアルバイト料を申告する必 要がないと思っていたなど、不正受 給とすることに疑問のあるケースも含 まれています。 もちろん、悪質な不正受給に対して は厳しく対応すべきですが、そういう ケースはごくわずかな例外です。数字 を冷静にみれば、数百万人の人が 生活保護受給から漏れていることの 方が大きな問題なのです。
生活保護法の制度趣旨を考慮し、正しい分 析・解説がされた報道が増えることを期待し たいし、冷静に報道内容を確認する視点が私 たちに求められているのではないだろうか。
(S)
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