1 杜山しえみ

雪ちゃん

ごめんなさい。
本当はずっと謝りたかったの。
私……私ね。
雪ちゃんのこと……好きじゃなかった。雪ちゃんが私を思ってくれてるように、雪ちゃんを好きにも、愛することもできなかった。
雪ちゃんは優しくて、臆病だったね。その弱さを時に拒んで、時に自分を傷つけたりもしてた。
その度に私がどんな気持ちだったか……解る?
雪ちゃんはいつも自分の気持ちが先走ってたね。私は解ったふりして笑ってた。そうすれば雪ちゃんは満足するから。そうすれば怒りが治まるから。
私が気持ちを押さえつけてたの知ってたよね?
でも、もし。
私が自分の気持ちをぶつけてたら、雪ちゃんが傷ついて、泣くのを解ってた。だから、一言だって本当の気持ちなんて口にできなかった。


今も貴方の存在が私を苛めて苦しめる。
(EZ)