俺は�Aヶ月前迄長距離ﾄﾗｯｶｰでした。
仕事柄か元来そういった体質なのかは解らないが、様々な体験がある…。
北陸道に有磯海と云うSAが有る。
そのSAのWC(小便用)に立つと海岸を眺め乍、用を足せると云う作りになっている。
福岡から積んで走りだし、そのSAに立ち寄る時間は殆ど毎回同じ深夜�B時頃で、しかも運行時間的に必ずそのSAに立ち寄り、公衆電話から会社に連絡を入れなければならない決まりでもあった。(眠気に依る事故防止も兼て)
長距離ﾄﾗｯｶｰにとって尿意は深刻な問題なので出来る時には尿意関係無しに絞りだすのが掟で有り、必ずWCへと行く様に心がけていた俺は勿論毎回WCへと行っていた。
何回目だっただろ〜か…？
俺が薄暗い海岸を眺めながら用を足していた時、秋口にもかかわらず二人の男女が浅瀬で遊んでいた…。
次にそこへ寄ったのは約�E日後、又同じ様に浅瀬で戯れていた。
深夜、しかも夏は終わっている…。しかしｶｯﾌﾟﾙなら解らんでもないな？なんて思いながら俺は航海を続ける為にそこを離れた。
それから�@週間程後にまた新潟便に出かけた俺は前回、前々回同様に浅瀬で戯れているｶｯﾌﾟﾙに出くわす。

目を疑う俺…。
幾ら何でも寒いだろ？！
しかも毎回同じ服じゃん！
とっくに小便は済んでいたが俺はそのｶｯﾌﾟﾙを眺め続けた。目が慣れてくる俺。
そこで初めて気付いたんだ…あのｶｯﾌﾟﾙは楽しげに戯れているんではない！

むしろｽﾞﾌﾞ濡れの女性が、嫌がる男性を暗く寂しい日本海へと引きずり込もうとしている事に。
一見すると大変な事ではあるが、俺は助けに行く気にはなれなかった。
何故なら…仮に俺がその場所へ行くと絶対的に俺迄引きずり込まれると云う自覚があったし、あの二人が既にこの世の者では無いと云う確信があったからだ。
何故なら俺の首の後ろに激痛が走り、あの何時も遭遇時に決まって襲われる嘔吐を感じたからであった。
あの二人は仲間…つまり道連れが欲しいだけなのだ。
勿論それからは会社の規定に背き違うSA･PAに止まる様にした…がしかし、それ以降そのSAを無視して通過すると必ず新車のﾄﾗｯｸのﾍｯﾄﾞﾗｲﾄのﾋｭｰｽﾞが切れ、高速移動中にもかかわらず真っ暗…即ち無灯火となり、漆黒の闇に誘い込まれる様になっていた。
だが俺は毎回取り乱す事はなかった。
それが奴等の仕業だと今迄の経験に依り理解出来たから。

常に他人より替えのﾋｭｰｽﾞも多めに所持しているし。
何より良かったのはﾌﾞﾚｰｷやｱｸｾﾙには支障が出なかったと云う事だ。　　　　　今はもうﾛｰｶﾙ巡りに変わったので北陸道なんて通行しなくなったけれど、何時か誰かが犠牲になる日が来るかもしれないと思わずにはいられない。
この話が皆にどう受けとめられるかは解らないが、まぁ私だけの恐怖ってｽﾚﾀｲには沿った話ではないだろうか…。
あぁ、又首の後ろが痛くなってきやがった…。
又機会が有れば書くとするよ。