タッキー＆翼が１０周年デビュー記念日にあたる１１日、宮城・石巻総合運動公園で無料イベントを行った。石巻市では、昨年３月１１日に発生した東日本大震災で約３５００人が亡くなり、約５００人が行方不明。会場は今も１１４２世帯が暮らす仮設住宅に隣接する自衛隊の元復興支援基地で、今春に自衛隊が撤退後、初めて歌手イベントが開催された。

　石巻での無料イベント開催は２年連続で、昨年９月のイベントはほぼ告知しなかったが、約３０００人が集まった。今年の告知も地元メディア限定で、前日には石巻市内の仮設住宅地数カ所に約２０００枚のチラシを配布。子供から年配まで約７５００人が集まり、「ハッピーな時間を届けたい」（今井翼）という２人の思いから、“何でもアリ”のイベントになった。

　場内はカメラや携帯電話で写真を撮る人が続出した。タレントの肖像権を重視するジャニーズ事務所は通常、マスコミ以外の写真撮影を厳禁としているが、今井翼（３０）は「今日に限っては、そんなことは言わないですから。求められることは全部やります」と快諾。スタッフも２人の思いをくみ、この日だけは黙認した。滝沢秀明（３０）は「写真ばかりじゃなく、生でも見てくださいね」と呼び掛けるほど、夕暮れの中で無数のフラッシュが光った。

　２年連続無料イベントは、滝沢がつないだ縁だった。震災発生後、プライベートで２０回以上、石巻を訪問。食材を持参し、炊き出しを行った。自らハンドルを握ることもあったという。イベントは触れ合いを重視。子供２００人をステージにあげ、一緒に踊る場面も。終了後は２時間にわたり、１人１人握手やハグを繰り返した。

　この日は震災発生からちょうど１年半で、２人にとってはデビュー１０周年。滝沢が「支援は続けることが大事」と言うと、今井は「何年たっても忘れない。節目の日だからこそ、僕たちの思いを伝えたかった。また、石巻でこのような時間をつくらせていただければ」。２人は誓いをあらたに、１１年目のスタートを切った。【近藤由美子】