葉隠より〜幽霊を脅した直茂公

【口語訳】

直茂公は三の丸で密通した男女をお取り調べの上、二人とも死罪になさった

その後夜な夜な御殿に幽霊が現れた。お女中達は怖がって夜になると外に出ようともしなかった。

そんな事が続いた為、直茂公の奥方に報告申し上げた結果、奥方が祈祷や供養をお命じになったが一向に止まない。

そこで直茂公へ言上したところ公は言われた…

『それは喜ばしい事だわい。あの二人は首を斬るだけでは許せない憎い者共であったのだ。ところが死んでも成仏出来ずふらふら迷って幽霊になり、尚も苦しみを受けて浮かばれないと言うのは結構な事だ。出来るだけいつまでも幽霊になっておればよい』

死者など恐るるに足らず

生きてる人間の方が数倍恐ろしいものである