1 Kawasaki ZXR-400R改め マシンX

橙灯の光のなかで…

 
その機械は、まるで人を惹き付ける魔力を持っているかの如く………


身をよじる様に走るとゆう………


魅せられた者は………


最後までゆくしかない………


 
(SO903iTV/FOMA)
2 マシンX
オレは産業道路沿いのラーメン屋で遅い夕食を済ませた…

店の入口脇に置いてある灰皿の前に立ち、徐に煙草に火をつける…

立ち昇る青白い煙の向こう…
暗い駐車場の片隅に、オレの"相棒"が静かに佇んでいた…

道行く人は皆"相棒"を気にも止めず通り過ぎてゆく…

ただ時折…
誰かに呼び止められたかのように、"相棒"の方へ振り返る人がいるだけだ…


オレはそんな様子を離れた場所から眺めていたが、やがて煙草を揉み消し、静かに"相棒"の元へと歩み寄っていった…

そしてイグニッションを回し…

走りに飢えた狼の眠りを呼び醒ました!
(SO903iTV/FOMA)
3 無名さん
おぉ!!新作だ♪
今回も期待してるよ(^^)
(SH900i/FOMA)
4 無名さん
((o(^-^)o))
(F903i/FOMA)
5 かわたけ
(゜▽゜)
(SH704i/FOMA)
6 無名さん
またかよε=┏(; ̄▽ ̄)┛さすがに、秋田(^ε^)
(W51S/au)
7 無名さん
けど見るだろ?
(N904i/FOMA)
8 マシンX
>>3-7(^o^)v

ゴアッ!!…ゴアアッ!!

アクセルを煽る度に空気が震える!

その場に居合わせた者は皆、荒ぶる狼の吠哭に立ちすくんだ…

オレはメットをかぶり、レザージャケットのファスナーを上げる…

そして相棒に跨り、サイドスタンドを蹴り上げた…

ゴアアアッ!!!

マシンは産業道路へと駆け出して行った…!

浜田省吾 "J-BOY")


(SO903iTV/FOMA)
9 無名さん
トップガンのテーマがよくない?
(N904i/FOMA)
10 マシンX
>>9おぉ!)

時は20世紀も終わに近づいたウィークデーの深夜…

冷えきった日本経済を象徴するように産業道路は静まり返っていた…

そんな静寂をマシンの荒々しい息吹が打ち破る!

"X"(今回のマシンの呼称)は、サーキットで勝つ為に生まれた美しいフォルムと、その圧倒的な存在感で道行く人を振り向かせた!


その時…『…!』

オレは何かに惹かれたようにマシンを本牧埠頭から湾岸線へと乗り入れた…

ただ何となく…
"相棒"が何かと呼び合った気がしたからだ…

この選択が長い夜の幕開けだった…!
 
(SO903iTV/FOMA)
11 かわたけ
DANGER ZONE
(SH704i/FOMA)
12 マシンX
オレと相棒はオレンジ色の光に満たされたハイウェイへと駆け昇って行った…

橙灯の光を受けて、マシンは妖しく光沢を放っている…

湾岸線には一般車の姿は殆ど無く、辺りは不気味なほど静まり返っていた…

嵐の前の静けさか…?

『相棒…いったい何を感じたんだ?』

オレは独り言を呟いてみる…

"X"は何も語らず…右ナックル部分に開けられたラムエアダクトが『コオォォ…』と吸気音を発し、カムチェーンのノイズを忙しく繰り返すだけだった…

その時だった…!

本牧JCT……K3からの合流地点手前…

オレの意識が左の方向へ注がれた…

狩場線方面から得体の知れない狂暴なエクゾースト音が近づいて来る…!

『何かが来る…!』

オレは合流地点に目を凝らし、その正体を確かめる…

オレの視線の50m程先で、橙灯に照らし出され そのエクゾーストの主が姿を現した!

あれは…!?
 
(SO903iTV/FOMA)
13 無名さん
少し、次五郎が入ってますね
(W51S/au)
14 無名さん
ヤクルトおばさん!
(N904i/FOMA)
15 無名さん
気〜に〜な〜る〜
(D902iS/FOMA)
16 無名さん
木♪
(W51S/au)
17 マシンX
>>13? スマソ ワカラン

>>14認知症のヤクルトおばさんがハングオンしながら首都高を逆走してきた!…オレは間一髪で避けた!!


オレの視線の先に姿を現したモンスター…!

『あれは…!?』

その音の主は漆黒の4輪車だった…

力強くアスファルトを蹴り上げる極太のタイヤ…

車内に張り巡らされたロールバーの影…

強大なダウンフォースを生み出す2ウェイのGTウイング…

コォアアアァーンッ…キュルル!…

サード管らしき排気デバイス音を含んだ野太い排気音…

そして黒いシルエットに浮かび上がる、真っ赤な丸いテールランプ…

  [◎◎    ◎◎] ←コレ

オレは A突堤で大きく右に湾曲する湾岸線で車速を上げ、ヤツの背後に近づいた!

『やはり…』

その漆黒の車体のテールには…

あの"エンブレム"が輝いていた…!
 

(祝・日本勝利)
(SO903iTV/FOMA)
18 無名さん
魚伸:「三平くん!今だ!」
(SH902i/FOMA)
19 無名さん
ボルトオンのケンメリだ!
(N904i/FOMA)
20 無名さん
何故かレクサスエンブレム!
(F905i/FOMA)
21 マシンX
 
漆黒のBCNR33…V-spec M-Ltd.… 
"GT-R"

それは悠に5〜600馬力級の雰囲気を漂わせたモンスターだった…

ヤツはオレの接近にアクセルを踏み込むでもなく、ただ湾岸線の"流れ"に乗って軽く左車線を流しているだけだった…

その振る舞いは、まるで2輪車など相手にしないと言わんばかりの、堂々としたものだった…

『流石だな?……』

オレはゆっくりとR33の右に並びかけ、出方を探る…
そして深くシートに身を沈めたドライバーを横目で窺った…

すると20代後半くらいの精悍な顔つきの男が、オレと"X"を見て目の色を変えた…!

R33がJGTCを勝つ為のマシンならば、"X"はWSBやAMAを勝つ為に生まれたマシンだ…

2輪と4輪…カテゴリこそ違え、生粋のレーサーとしてのDNAを受け継ぐ者同士…
ここで出会ってしまった不運を呪笑う…!


星一つ無い闇夜のなか…

ライトアップが落とされた横浜ベイブリッジの橋脚が…

まるで地獄の門のように大きく口を開け、オレとヤツを飲み込もうとしていた…!

(祝・星野JAPAN北京五輪出場!)
(SO903iTV/FOMA)
22 無名さん
湾岸ミッドナイト?
(SH902i/FOMA)
23 マシンX
>>22リスペクト シマシタ)

『ついて来るか否かは お前の自由だ……好きにしろ…』

オレはR33を挑発するようにスロットルを開けた…!

ヴォアアアァーンッ!!!

たった750tの排気量から発生する140馬力もの大パワーがアスファルトを蹴り上げる…!

地上50mの巨大な吊り橋の上…危険な横からの海風を切り裂きながら"X"は爆発的な加速力をヤツに見せ付けた…!

コオォアアアーッ!!…プシャーッ!!

後ろでRB26-DETTも唸りをあげる!

どうやら"X"はヤツの お眼鏡にかなったようだ…

オレはメットの中でニヤリと笑った…

DeepPurple "BURN")
横浜ベイブリッジ…
"ゼロ・アワー"(戦闘開始)
 
(SO903iTV/FOMA)
24 無名さん
不定期だから余計に待ち遠しいなぁ
(N904i/FOMA)
25 マシンX
 
>>24忘年会シーズン デスカラネ…

中間加速なら"X"の方に分がある!……"X"は、ベイブリッジの上でR33をグングン引き離してゆく…!!

並の4輪車なら これでギブアップするところだろうが、あのR33は そんな生半可な車ではない筈だ…

だからこそマシン"X"と呼び合ったのだろう…


やがて美しいループ橋が幾重にも連なる大黒JCTが近づいてきた…

最初の選択権はオレに握られた…

『K5〜K1横羽には行かない…このまま湾岸で様子見といこうか…!?』

"X"の甲高い吠哭は減速する気配をヤツに見せない…!
このまま直進する旨をR33のドライバーに伝える阿吽の意識疎通でもあった…!

湾岸線は大黒埠頭で緩やかに右にカーブする…!

2台のモンスターは、一番右の車線を弾丸のように駆け抜けていった…!
 
(SO903iTV/FOMA)
26 マシンX
 
鶴見つばさ橋から東扇島まで続くストレート…!
最も車速がのる区間だ…!

車速はメーター読みで250q/hを超えた!

一般車両の大型トラックが巨大な鉄塊となって150q/hもの速度差で後方に消し飛んでゆく…!

僅かなギャップが命取りとなる極限の速度域のなか、ミラーの中の白い光(R33のヘッドライト)が大きくなってきた!

オレから売った喧嘩ながら、背後から受けるプレッシャーに緊張感が高まる!
(SO903iTV/FOMA)
27 無名さん
((o(^-^)o))
(F903i/FOMA)
28 マシンX
(>>27ドモです)

鶴見つばさ橋…橋桁を吊り上げる鋼線がハープの絃のように連なる美しい橋だ…

コアアアァーッ…!!!

R33は一番左の車線をグングン伸びてきた!

真ん中の車線を走っていた一般車のバンを挟むように抜き去り、2台のモンスターは扇島へと突入した!

扇島〜東扇島ストレート…!

辺りには無機質な鉄鋼プラントが立ち並び、鋼炉の煙突からは真っ赤な火炎が噴き上がる…!

さながらスピードに魅せられた愚か者共を誘う地獄絵図にも似ている…!

そのとき数百メートル先に4〜5台の一般車両の集団が見えた…
ちょうど一般車同士が追い越しをかけながら車線変更をしているところだった!

最左車線にはトラックの列と小型車が……最右車線にはセダンタイプの車が居座っている!

"X"とR33は、10数秒後にはその集団の中に260q/hものスピードで突入する!

オレはR33との位置関係と一般車の動向を瞬時に予測し、ヤツを牽制するように空いている真ん中の車線へとレーンチェンジした!

しかし……!!
 
(SO903iTV/FOMA)
29 無名さん
早く続きを...楽しみ
(^◇^)
(W51S/au)
30 マシンX
>>29

ヤツは そのまま左車線で お構い無しに踏み込んできた…!

R33の車線の先にはトラックの列が迫って来る!

『死ぬぞ…!?』

オレが無謀とも思えるヤツの加速を気遣ったのも束の間だった…!

なんとヤツは、オレがキープしている真ん中の車線へジリジリと幅寄せしてきた!!

バイクを相手にした四輪乗りならではの荒業だろう…!!

立場が逆ならオレも同じ手を使ったかもしれない…!(苦笑)

『譲るかボケ!!』

オレは滲り寄ってくる 1.4tの車体を横目で睨みながらスロットルを開け続けた!

R33と"X"は、ピタリと横並びのまま、一般車両の集団…空いている中央の車線へと突っ込んでゆく!

その時…!!
(SO903iTV/FOMA)
31 無名さん
し、しししかし!?
(N904i/FOMA)
32 マシンX
>>29>>31ドモです

そのとき突然、最左の車線を走っていたトラックが右ウインカーを光らせた…!!

一瞬、オレの背筋に戦慄が走る!!…ヤツも同じだっただろう!

首都高を飛ばす野郎共を威かす悪癖トラックドライバーは少なくない…

『只の威し』…頭では分かっていても、どうしても身体が先に反応してしまうものだ…!

オレも慌てたが、そのトラックのほぼ真後ろにいたヤツの方が慌てたようだ…!

R33は とっさにアクセルを抜いた…!

『チャンスだ!』
オレはスロットルを戻そうとする脊髄神経を強引に思い止まらせた!

"X"は一般車群の間隙を突いて、トップスピードをキープしたまま駆け抜けた…!!

(今更だけど首都高湾岸線は片側4車線だっけ?…マァイイヤ…
(SO903iTV/FOMA)
33 無名さん
そ、そそ、そその時!?
(N904i/FOMA)
34 無名さん
その時!真ん中のレーンにバナナの皮がっ!!!
(F905i/FOMA)
35 マシンX
(地獄の4日連続忘年会…オレの肝臓が悲鳴をあげている…)

>>34バナナの皮と思った落下物は黄色いコン○ームだった!!
………使用済みだった…


一旦車速を殺してしまったR33 のドライバーには、もう"X"を再追する気力は残されていなかった…!

白いヘッドライト光は、ミラーの中でどんどん小さくなっていった…

海底トンネルが近づいてくると一般車両が多くなってきた…

ヤツが追い上げてくる気配は もう無い…

『第1ステージは、オレの勝ちだな…』

しかしオレは、その勝利が僅かな"運"の差だったことも肝に命じた…

オレは一般車の流れるスピードまで車速を落とし、ヤツが追いついて来るのを待った…
 
(SO903iTV/FOMA)
36 無名さん
慢りの無い所が素晴らしい!
(N904i/FOMA)
37 マシンX
 
海底トンネルを抜け、浮島JCTが近づいてくる頃、ようやくR33は追いついてきた…

オレは"X"と並走するR33のドライバーの顔を伺った…

『たかがバイクにチギられた…』
ヤツの表情は、そんな悔しさにまみれていた…

オレは勝ち逃げを好まない…
ヤツのR33を先に行かせ、この先の選択権を譲った…

ここで降りるのも良し…
第2ステージで勝負を続けるのも良し…

これは一度勝った相手に対するオレなりの流儀だ…


…とは言ってもヤツが浮島の分岐(アクアライン方面)で左ウインカーを出したらサヨナラだ…

財布の中身の勝負でヤツに勝てる自信は無かった…
 
(SO903iTV/FOMA)
38 無名さん
その時!信じられない光景が!!

なんとR33のドライバーの彼女と思わしき女がドライバーの股から顔をあげ口元をティッシュで拭いた!

なんとドライバーは女にフェラさせながらあのバトルをしていと言うのか?

スッキリして集中力の増したR33はどれだけの走りを見せるのか……
(SH902i/FOMA)
39 無名さん
ま、ままままさか!!さっきの使用済みコンドームもR33が俺と出会う前に周回していた時にヤッて捨てたものか?!


童貞な俺は羨ましさで怒りパワーに満ちてきた。


妬みパワーVS ザーメンだしてスッキリ余裕パワーの戦いだ!!
(SH902i/FOMA)
40 無名さん
>>38>>39
面白いが、流石にそれは弄り辛くないか…
(F905i/FOMA)
41 無名さん
んなアホな。
(N904i/FOMA)
42 マシンX
 
オレの予想通りヤツは浮島の分岐点で直進を選んだ…

>>38女にヌいて貰ってスッキリしたヤツは眼をギラつかせていた!

『勝負はこれからだ…!』

2台のモンスターは多摩川トンネル内で大きく左にカーブし、羽田空港へ…

この辺りは一般車が多く、時折一般車両の群れが途切れると、僅かなクリア状態の中を小競り合いのようにダッシュを繰り返すだけだった…

羽田トンネルを抜け、京浜島へ…

一般車の間を縫うように競い合う2台のモンスター…!
スピードメーターは、なかなか200q/hを超えることは無かった…

フラストレーションが溜まる…

首都高湾岸線は大きく右へカーブしていった…
 
(SO903iTV/FOMA)
43 無名さん
さすが!
(N904i/FOMA)
44 マシンX
 
京浜大橋に差し掛ったとき、ようやく一般車の群れが途切れた!

オレはカウルに身を沈め、一気にフルスロットルまで開けた!

フォアアアアーッ!!

"X"は暴力的な吠哭を轟かせ、圧倒的な加速力でR33を置き去りにする!

しかし、橋を渡り切った所でミラーを覗くと、R33の白いヘッドライトが50bほど後方から鋭く伸びてくるのが見えた!

やはり簡単に勝てる相手ではない…

オレの心は、好敵手に恵まれた幸運と、ギリギリの緊張感の狭間で揺れ動いた…


そのとき…!

オレの背筋に ゾクリ…とした悪寒が走った…!
(SO903iTV/FOMA)
45 マシンX
 
ゾクリとした悪寒…

それは"X"という魔性の権化のようなマシンが何かと呼び合ったときにオレに伝える感覚だった…

東海JCT合流ポイント…

『…左から来る…!』

それはR33の乗り手が放つ"炎"のような気迫とは違う…………まるで研ぎ澄まされた"氷刄"のようなオーラを発する何かだった…

オレは眼をこらして合流地点を睨んだ!

『あれは…!?』

時速240qのクレイジーな領域で疾走する"X"とR33の目の前に…

第ニの刺客が姿を現した…!!
 
(SO903iTV/FOMA)
46 無名さん
レレレのおじさん!?
(N904i/FOMA)
47 マシンX
>>46レレレのおじさんは風圧でクルクル回りながらマンガのように地面に埋まった!!


東海JCTに現れた第ニの刺客…

それはパールホワイトの4輪車だった…!

カーボン製のGTウイング…

カナートフィンをしつらえ、地を這うような低いエアロダイナミクス…

そしてアーチ状に湾曲する独特のリアフェイス…

『あれは…!?』

そのマシンは官能的なロータリーサウンドを響かせながら、200q/hを超えるオレ達2台のバトルに、ごく自然に合流してきた…

FD3S…Type-RS…!?

それは闇夜の首都高に一際映える白い"セブン"だった…


首都高・湾岸線…大井海浜公園ストレート…

荒ぶる3台のモンスターが大気を揺るがすようなエクゾースト音と共に、三つ巴の戦いを繰り広げようとしていた…!
 
(SO903iTV/FOMA)
48 マシンX
 
白いFDは220q/hもの速度で軽やかにレーンチェンジしながら一般車をパスしてゆく!

車体を全くロールをさせる事なく…尚且しなやかな動作性能だった…!

すぐさまオレとR33もFDの後を追う!

コアァーーンッ!!!

しかしFDは、そこから信じられない加速でオレ達2台を突き放していった!!

『速いッ…!!』

並のチューンド・FDではない…!

まさか…"20B"(3ローターユニット)でも搭載しているのか!?

オレは呆れるほど速いセブンのテールをただ睨むことしかできなかった…

チラリとR33のドライバーと顔を見合わせた…
ヤツも苦笑いを浮かべていた…

『面白くなってきた!』
 
(SO903iTV/FOMA)
49 無名さん
おおっ!ロータリー!!
(N904i/FOMA)
50 無名さん
なんと!!
その背後からピョンピョンババアが同じ速度域で走ってきた
(SH902i/FOMA)
51 無名さん
ピョンピョンババアは白いFDを睨みながら叫んだ。

「金払え〜食い逃げ野郎


…なるほどあの速さの秘密は…
(SH902i/FOMA)
52 マシンX
>>51ババアの速さの秘密…それは…

オーバー1000psを叩き出すツインビッグタービン…!

美しく青く焼けたEXマニ…!

そして荒々しい大パワーを受け止めるチタンコンロッドを秘めたV8エンジン…!

『うっ…!?』

その時突如ババアが胸を押さえて苦しんだ!

ババアは失速し後方視野の中に消えていった…

エンジンブローだった…

(SO903iTV/FOMA)
53 51
>>52
アリガトウwww
(SH902i/FOMA)
54 マシンX
>>53>>48の続き)

その時…!

…キューンッ!!…プシャー!…

最右車線を走っていたR33の加吸音が明らかに変わった! どうやらブーストを上げたようだ…!

RB26-DETTツインターボが悲鳴にも似た唸りを上げ、漆黒の車体は異次元の加速を見せる!

『野郎…三味線ひいてやがったな!?』

オレは苦笑いを浮かべながら"X"をR33のスリップに潜り込ませた!


白いFDを追走するべく鋭く伸びるR33!
気高き"R"のエンブレムが橙灯の光を受けて輝いている!

しかしその爆発的なパワーUpは………空燃費とのバランスを崩す脆刃の剣だろう………R33が命と引き替えに紡ぎ出したような危うい儚さを感じさせた…
 
(SO903iTV/FOMA)
55 無名さん
ホントうまいねぇ〜
(N904i/FOMA)
56 無名さん
もしも主の今までの話が短編小説みたいになったら絶対買う
(P905i/FOMA)
57 マシンX
>>55キョーシュクデス…

50メートルほど先をゆく白いFDを追う漆黒のR33…!

そしてそのスリップでパワーバンド入口の回転域をキープするライムグリーンの"X"…!

高回転向けのセッティングを施したFCRからガソリンが噴霧され、甲高いインラインフォアのエンジンが唸りを上げる!

3台のモンスターは大井海浜ストレートを疾走する!

その時…!

数百メートル前方に10台以上の一般車の群れが見えた!
全ての車線が塞がれている!

どうする!?……FD !?
 
(SO903iTV/FOMA)
58 無名さん
なんとその一般車はサブちゃんのロールスロイスを筆頭にした北島外車軍団だった!!


カスリでもしたら殺される!!
(SH902i/FOMA)
59 マシンX
>>56アリガト

その時、中央の車線を走っていたFDのブレーキランプが光った!

オレはすぐさま"X"を最右車線の中央分離帯側に寄せた!

ほどなくしてR33もブレーキを踏む!

オレはその間隙を突いてR33と分離帯との間、1メートルほどの隙間に"X"のノーズをねじ込んだ!

減速するR33を右側から追い抜く!

すぐに一般車群とFDも迫ってきた!
アッと言う間に3台の車間が縮まる!

"鷹の視点"

オレの脳内にFDとR33…そして一般車群の位置を記したバードビューマップが展開される!!

"渋滞時の透過性"…二輪車最大の長所を生かし、より速い車速を維持するためのラインを探る!

『そこだ…!!』

オレは、一般車群の最後尾…右車線を占有する大型トレーラーと、集団に追いつこうとするFDとの隙間を睨んだ!

そして"X"は、13〜40q/hまで減速したFDの右脇を突いた!
 
(SO903iTV/FOMA)
60 マシンX
 
コアァァーンッ!!!

"X"は、白いFDと大型トレーラーの間を180q/hものスピードですり抜ける!

トレーラーの巨大なタイヤがオレのすぐ右傍で地獄車のようにグルグルと回転している!

巻き込まれたらアッという間にミンチにされるだろう…(笑)

FDのいる中央車線の先には>>58山本譲二のベンツが詰まっていた!

オレはマシンを大型トレーラーの前に出すと、やむなく減速するFDを尻目に、一般車群の間を最小限のスピード・ロスで切り抜けていった…!

(祝アサダマオユウショウ
(SO903iTV/FOMA)
61 マシンX
 
"X"は真っ先に集団を抜け出した!

オレはカウルに身を伏せながらスロットルを全開にする!

6速…11500回転…!

車速は220q/hを超えた!
もうじき大井JCTに差し掛かる…!

次の選択権はオレに握られた!
『このまま湾岸線か…それとも1号羽田線か…?』

左のミラーを覗くと、虹色の光源を含む低いライトが一般車群の間を縫うのが見えた!

白いFDだ…!

R33の姿は見えない…まだ一般車の集団の中にいるようだった…!

湾岸線を離れる選択肢は東海JCTから合流したばかりのFDから見れば"逃げた"と思われるようでシャクだった…

『このまま湾岸で勝負だ!』

首都高・湾岸線に"X"のエクゾーストノートが哭くように響き渡った……
 
(SO903iTV/FOMA)
62 マシンX
(アケオメ)

"X"は大井JCTを通り過ぎた!

そして首都高湾岸線を大きく右にカーブしながら東京港トンネルへと突入した!

フォアアァーンッ!!!

ナサート管のけたたましい爆音がトンネル内に反響する!

オレは一般車をパスしながら、"X"を最左車線へと導いた!

意図的にコーナーのアウト側のラインを選んだ理由…それは…

ここはサーキットではない…そしてトンネル全体がブラインドコーナーとなっている……

一瞬先の闇に何が潜んでいるか解らない世界だ!

コーナー出口で事故渋滞なんてことも有りうる…(笑)

200q/hオーバーの速度域では、それは"死"に直結する……

有視界領域を少しでも確保するための選択だった!

オレはギリリ…と歯を喰い縛り、コーナー出口を睨み続けた!

…その時!!
 
(SO903iTV/FOMA)
63 マシンX
 
カアァーーンッ!!……(FD)

ゴア゙アアァーッ!!…キュルル…(R33)

異なる2つのエクゾーストノートが後ろから近づいてくる!

バイク乗りにとって200q/hオーバーのコーナリングは、想像を絶する恐怖が付きまとう…

しかし…4輪乗りは意図も容易くその領域に踏み込んでくる…!

2輪車に有利なシチュエーションもあれば、その逆もある……

公道レースという馬鹿げた世界は、実に面白いパワーバランスの上に成り立っているものだと感心した…


…戦いの最中…そんな思案を巡らすオレを知ってか知らずか…!?

FDが…そしてR33が…

"X"より小さい旋回半径で情け容赦なくオレをブチ抜いていった…!

(コースノキオクガアイマイデス
(SO903iTV/FOMA)
64 マシンX
(正月はヒマだ

FDに抜かれる刹那…

ヤツのフロントマスクを拝むことができた…

オレはそのツラ構えを見てギョっとした!

カーボン・ボンネットの左右に放熱口のフィンが羅列し、センターには巨大なインタークーラーを配していた…!

オレが知りうるFDの常識を凌駕するトルク&パワー…!

そのような巨大なインタークーラーを必要とする理由……ウエストゲート式の大容量シングルタービンしか考えられない…

そして…そんな気違いのような加吸圧をパワーに換えることができるロータリーEgはただ一つ…!

まさかとは思ったが…やはりあのFDの心臓は…

…悲運の3ローターユニット…

……"20B"…

ゴクリと唾を飲むオレの視線の先に…

大パワー&フロントヘビーFRの車病……オーバーステア挙動を強引にねじ伏せるFDがいた…!
 
(SO903iTV/FOMA)
65 マシンX
 
トンネル内が登り勾配になり、出口に向けて視界が開けた…!

"X"の車体は直立し、先程の仕返しとばかりに鋭い加速を見せる!

オレはカウルに身を沈め、スクリーン越しに前をゆく2台の4輪車のテールを睨んだ!

シュパァーッ…!!!

トンネルを抜けると、左手に極彩色の光に満ち溢れた東京BAYの夜景が広がり、その中央にはレインボーブリッジがそびえ建っていた…

途方もないスピードの中、街灯りが"X"のスクリーン内に反射し、夜光虫のように乱舞している…!

台場ストレート…
もうすぐ有明JCTだ…!

次の選択権は先頭をゆくFDに委ねられている…!

レインボーブリッジ方面〜芝浦JCT〜浜崎橋JCT〜都心環状か?

いや…!

あの白いFDは生粋の湾岸ランナーだ!
タイトなC1ではそのパワーが逆に足枷となってしまう!

オレの読みが正しければヤツは辰巳橋へと直進するはずだ!

その時、FDの後塵を拝し続けていたR33が分離帯寄りの最右車線へとレーンチェンジし、右ウインカーを出した!

『あくまでも湾岸…!』

漆黒のR33もそれを望んでいるようだった…!
 
(SO903iTV/FOMA)
66 マシンX
 
R33のドライバーに促されるように、白いFDは有明JCTをスルーした!

車速は270q/hを超える!

悔しいが"X"では付いてゆくのがやっとの領域だ…!

前をゆく漆黒のR33が白いFDのスリップに引き寄せられる…!

2台の4輪車の速さは拮抗しているように思えた…!

しかし両者を比べるとR33の方がFDよりノーマルに近い…

元々GT-Rという車は吸排気系をイジってROM交換すれば4〜500psまでポンと出る代物だ…

世のFD乗りの嫉妬と落胆の声が聞こえてくるようだ…

しかし目の前にいる白いFDはケタが違う!

ハイパワーR33を持ってしても、なかなか前に出させてもらえない…!

『恐ろしいFDだ…』

3台のマシンは、もつれるように辰巳橋に差し掛かった…!
 
(SO903iTV/FOMA)
67 マシンX
 
白いFDは辰巳JCTでの選択権を行使すること無く、270q/h台の速度を維持したまま、R33と"X"を従えて直進した!

首都高湾岸線は大きく右にカーブしながら曙橋を通過する!

前をゆく2台の4輪車から遅れること2秒…"X"も続いた…!

一般車が少なくトップスピードを維持し易いシチュエーションは、今の"X"にとって不利に作用していた…!

6速エンドまで回し切ってもジリジリと離されてゆく…!

WSBやAMAのレースシーンを席巻したベース車両のポテンシャルをもってしても、あの化け物のような首都高レーサー達には敵わないのか…!?

オレはメットの中で悔しさを噛み殺した…

…その時…!
 
(SO903iTV/FOMA)
68 マシンX
前作『傾陽を背に〜』を投稿小説サイトでリメイクしてます。
(ついその気になってしまいました…)

http://mumei.org/public/t826.htm

感想をお聞かせ下さい。(^^ゞ
(SO903iTV/FOMA)
69 マシンX
 
その時…路面に落ちていた小さな落下物が、FDとR33の車速に煽られフワリと宙を舞った…

見るとそれは白いレジ袋だった…

"X"がそのレジ袋を射抜くように駆け抜けようとしたとき…

袋は走行風の流線に沿ってスルリと身をかわすようにオレの後方に滑り抜けた…!

そして"X"から発生するタービュレントに弄ばれ、クルクルと舞いながらミラーの中で小さくなっていった…

『…ミラーの…!?』

オレの脳内で一筋の光明のような閃きがほとばしった!!

『いけるかもしれない…!』

オレはFDとR33に追い付くための"ある作業"を遂行すべく、ヤツらとオレが平等に減速する瞬間を待った…!
 
(SO903iTV/FOMA)
70 マシンX
 
首都高・湾岸線は新木場に向かう緩やかな右カーブに差し掛かる…

コーナーを抜けるとFDとR33の先に5〜6台の大型トラックと一般車の集団が立ち塞がるのが見えた!

次の瞬間…!

FDが…R33が…相次いで真っ赤なブレーキランプを光らせた…!

『この時を待っていた!』

1.5秒後…本来ならブレーキレバーを引くタイミング…

オレはステアリングから両手を放し、アッパーカウル左右の可倒式バックミラーを手前に引き倒した!


ミラーを折りたたみ…"X"は後方視界を失った…

しかし、その代わりにバックミラーが受ける空気抵抗を減らすメリットを得る…!

どれ程の効果があるか解らない…

だがオレは僅かに見えた光明に賭けるしかなかった!

あとは"X"を信じてスロットルを開けるのみ…!!

集団に詰まり、やむなく120〜30q/hまで減速するFDとR33のテールランプが迫ってくる…!

ヤツ等とのビハインドは完全にリセットされた!

『勝負はこれからだ!』
 
(SO903iTV/FOMA)
71 マシンX
 
全車線を塞ぐ一般車の集団がオレ達3台の行く手を遮る…!

いち早く、流れの早い最右車線を陣取ったのはFDだった…!

しかしその状況判断は裏目に出る!

中央の車線を走るR33の目前にいた普通車が、猛烈な速度で追いついてきたモンスター達に驚き、左車線のトラックの隙間へ逃げたのだ…!

突如 R33の目の前の視界が開けた!

ゴヴォア゙アアァーッ!!…プシャーッ!

思わぬ形で転がり込んできたチャンスに、RB26-DETTツインターボが歓喜の雄叫びをあげた!

オレもその混乱に乗じてすかさずR33のスリップに潜り込む!

最右車線で行き場を失ったFDは、"X"が通過した後に中央の車線へ乗り換えた…!

しかし…!

…ギャギャギャッ!!!

焦って踏み込んだ為か、FDのリアが白煙を上げて暴れていた!


R33…"X"…少し遅れてFD…!

荒ぶる3台のマシンは"夢の島"を加速していった…!!
 
(SO903iTV/FOMA)
72 無名さん
いじりも入ってるのかな?
(N904i/FOMA)
73 マシンX
>>72フッフッフ…

コォァアアアァー…ッ !!

漆黒のR33は暴力的な咆哮をオレと"X"に浴びせかけ、荒川河口橋を加速してゆく!

明らかに横浜BBで出会った時よりも鋭い加速だった…!!

そしてそれは過酷なブーストUpに、燃え尽きんが如く命を削るR33の哀しき吠哭の声にも似ていた…


R33と"X"…そしてFDは葛西JCTを240q/hの速度で通過し、首都高湾岸線はゆるやかに右へカーブしてゆく!

東の空には明けの明星が輝いていた…もうすぐ夜が明ける…

勝敗を決する刻は近い…!

たかがプライドの為に命を賭け、心血と大枚をそそいだマシンを競わせる…

馬鹿げた事と分かっている…

しかし…オレもヤツ等もアクセルを弛めることは出来ない…!

それがスピードという名の魔力に魅せられた愚者達の悲しき性だった…
 
(SO903iTV/FOMA)
74 マシンX
 
車速は270q/hを超えた!

R33のトップエンドと"空気の壁"の作用が吊り合い、加速が徐々に止まる…!

"X"はそのスリップで温存したパワーを解放する瞬間を待っている!

6速…13300回転…!

レブリミットまでの僅かな回転域の伸びに全てを賭ける!

『今だ…!』

オレはスクリーンに頭を埋め、肘と膝でガッチリとタンクを抱え込む!

そして"X"をR33の右に振った…!

シュゴオォ…!!

スリップを抜け出した瞬間、凄まじい風圧がオレに襲いかかってきた!

しかし"X"はバックミラーを折り畳んだ空力効果を発揮し、空気の壁を切り裂く!!!

『行けェーッ!!!』

ファアアァーンッ !!

"X"のサイドカムギアEgが甲高い雄叫びを上げる!

そして遂にR33を抜き去った…!
 
(SO903iTV/FOMA)
75 マシンX
 
"X"はR33を従え葛西臨海公園手前の緩やかな右コーナーをクリアする…!

東京湾に広がる青紫色の"かぎろひ"の中…とんがり屋根の美しい城塞のシルエットが浮かび上がっている…

オレが子供の頃、この景色を東西線の車窓から眺めたときには、ワクワクするような興奮を感じたものだ…

しかし…今のオレには忌み嫌うべき光景でしかない…

なぜなら首都高のMAXスピードを揺り篭にする者達の間では、誠しやかに囁かれていた…

『おとぎの国の隣には悪魔が住んでいる…』
…と。
 
(SO903iTV/FOMA)
76 マシンX
 
280q/hまで刻んだスピードメーターの指針は、"X"を未知なる領域へ誘おうとしていた!


ミラーを失った今、振り返ることの出来ない後方から…

振り切ることの出来ないプレッシャーがジリジリと迫って来る…!


漆黒のR33のタービンが…禁断の領域へ踏み込んだのか…!?

それともパールホワイトのFDが異次元の加速で追い付いてきたのか…!?

『来る!…どっちだ…!?』

視認できない追跡者の影にオレの焦りが倍増する!


その時、"X"の足元を後方から照らしてくる白い光が徐々に大きくなり…!

そして左右2つに別れた…!!

次の瞬間…!!!


白いFDが右から…

黒いR33が左から…

"X"を挟むように抜き去っていった…!

オレは…ただ絶句した…


2台の4輪車はピタリと併走し、徐々に"X"を引き離しながら舞浜大橋を駆け抜けてゆく…!

『もはやこれまでか…』

オレは針の振り切れた280q/hスケールメーターをチラ見し、敗北を覚悟した… 
(SO903iTV/FOMA)
77 マシンX
 
3台のモンスターは、TDLの北側に差し掛かった…!

この先には恐ろしい"悪魔"が待ち受けている…

>>75おとぎの国の隣に棲む悪魔…

通称…"ディズニー・コーナー"


それはスピード・ジャンキーの生き血をすする、旋回半径300メートルの超高速 左コーナーだった…

法定速度を許容するだけの浅いカントはタイヤのグリップを容赦無く奪い…

路面には至る所で生々しいブレーキ痕が刻まれている…

それを辿ると中央分離帯のフェンスが無惨に破損しており…

いつも哀しげな"献花"がたむけられている…


悪魔よ……今宵の獲物はR33か…FDか…それとも"X"か…?


先をゆく2台の4輪車は"悪魔"の懐へと飛込んでゆく…!
 
(SO903iTV/FOMA)
78 無名さん
なぜだろう? 13日なのに11日までのしか見れない
(N904i/FOMA)
79 無名さん
>>78当ページ下の[次へ]をクリックして下さい
(SO903iTV/FOMA)
80 無名さん
>>78当ページ下の[次へ]をクリックして下さい
(SO903iTV/FOMA)
81 無名さん
>>78当ページ下の[次へ]をクリックして下さい
(SO903iTV/FOMA)
82 無名さん
>>78当ページ下の[次へ]をクリックして下さい
(SO903iTV/FOMA)
83 マシンX
(ヤットツナガッタ

R33は僅かに減速しただけで、ディズニー・コーナーのイン側の車線をキープする!

FDもピタリとR33の背後につけた!

少し遅れて"X"も続く…!

しかし2輪車のコーナリングにおける限界点など、ヤツ等と比べるに値しないことなど解っている…

もはやオレがスロットルを開け続ける理由は勝ち負けと別なところにあった…

『勝負のゆく末を見届けたい…』

…只それだけだった…
 
(SO903iTV/FOMA)
84 無名さん
>>82ありがとう!
(N904i/FOMA)
85 マシンX
>>84

アテーサETS-Proが生み出す力強い旋回モーメントで、R33は低い路面μを確実に捕え、魔のコーナーをグイグイと曲がってゆく…!

方やFDも1.1tの車重とカナートフィンが生み出すダウンフォースにモノを言わせ、R33を上回るコーナリング性能を発揮していた!

2台の4輪車はオレの視界の中で小さくなってゆく…!

解っていたことながら、余りの限界点の差に愕然とさせられる…


白いFDは路肩に左タイヤをはみ出しながら、R33より車体半分だけイン寄りのラインをキープしていた…!

オレが思うにR33の前輪トルク配分は10〜20%といったところだろうか…?

おそらくR33がコーナーを立ち上がるときのアンダーステア挙動を見越してのライン取りなのだろう…

オレはFDの乗り手の"氷刄"のようなクレバーさに、ゾクリと鳥肌が立った…!
 

(SO903iTV/FOMA)
86 マシンX
 
R33とFDのエクゾースト音がシンクロしている…!


オレは"X"を左へバンクさせながら、小さくなってゆくテールランプを睨み続けた…!

ディズニー・コーナーの立ち上がりでアンダーを出したR33のインを突き抜ける!

それがFDのドライバーが描くシナリオだろう…


しかし…何だろう?…この胸騒ぎは…?

オレはみぞおちに嫌な汗がつたう感触に、不吉な前兆を感じとった…

"X"はただ忙しくサイドカムチェーンのノイズを繰り返すだけだった…


その時…!


突如、前を行く2台の車影が眩しく光った…!!
 
(SO903iTV/FOMA)
87 マシンX
 
パァンッ…!!!

炸裂音と共に光った眩しい閃光の正体は、R33のエキパイから放たれた一瞬の火柱だった…!

直後、R33はエキパイとボンネットの隙間から凄まじい白煙を吹き上げた…!

…デトネーション・ブロー…

過酷なブーストに耐えていたRB26-DETTが、遂にその命を燃やし尽した瞬間だった…

多量のオイルを含んだ白煙は、すぐ後ろを走っていた白いFDに襲いかかった!

白い車体は大きくバランスを崩し、240q/hを超える速度でリアが右へ流れた…!


ガラガラガラッ!!……悲痛な異音と共に失速し、息絶えようとするR33…!

コマのようにスピンしながら中央分離帯まで弾き飛ばされ、激しくフロントをヒットするFD…!

首都高に飛び散るFDのパーツ……ムセ返る生ガスの臭い…

ディズニー・コーナーの悪魔が2台の4輪車に容赦無く牙を剥いた!!

スローモーションのように繰り広げられる惨劇の中…

"X"は死にゆく2台のモンスターの狭間に突入していった…!!!
 
(SO903iTV/FOMA)
88 マシンX
 
フロントが滑る感触…"X"は路上に撒かれたオイルを踏んでしまった!

オレの背筋に戦慄が走り、その瞬間リアルに"死"というものを意識する…!

オレは反射的にクラッチを切り、オイルが撒かれたアスファルトの上を通過する…!!


まるで生きた心地がしない…

息を殺し…ひたすらグリップが回復するのを待つ…

永遠にも感じる、コンマ数秒の出来事だった…


断末魔の咆哮と共に失速するR33と…

激しく大破し宙を舞うFDが…

視界の左側をスローモーションで通り過ぎていった…!
 
(SO903iTV/FOMA)
89 無名さん
ドキドキ…(〃▽〃)
(F903i/FOMA)
90 マシンX
>>89

暫時後…

オレは"X"を路肩に停め、事故現場を呆然と振り返った…


中央分離帯に衝突したFDは、反動で反対側のガードレールにも側面をヒットし、最左車線を塞ぐように止まっていた…

…FDのドライバーはピクリとも動かない…


その後方の路肩でR33も力尽きていた…

…R33のドライバーもステアリングを抱えながらガックリと頭垂れていた…


事故現場を起点に一般車たちのヘッドライトが列を成し、何処までも続く渋滞が生まれていった…


まるで葬送行列の灯火のように…
 
(SO903iTV/FOMA)
91 マシンX
 
R33の男とオレは、FDの男を乗せた救急車を見送った…

幸い命に別状は無いようだ…


無惨なFDの亡骸が路肩に横たわっている…

8点式のロールバーがコクピットの原型をかろうじて留めさせていた…

FDが最後に成し遂げた仕事は、主の命を守ることだったのかもしれない…


一通りの事故処理が済んだ頃には、既に朝日が昇っていた…


R33のドライバーとは、とくに言葉を交すことは無かった…

しかしヤツの心中は痛いほど理解できる…

息絶えたR33を見つめ…謝罪するようにうつ向く姿が全てを物語っていた…


ヤツは愛機の遺骸を積載したトラックに便乗し、去っていった…

トラックの車窓から左腕を出し、オレに向かって悲しげに親指を突き立てながら…
 
(SO903iTV/FOMA)
92 マシンX
 
ヤツ等とはもう会うことは無いだろう…

だが…忘れることも無いだろう…


20分後…

オレは市川PAで缶コーヒーを飲んでいた…


首都高・湾岸線には、朝の車達が何事も無かったように往来している…


誰が勝ち…誰が負けた訳でもない…

オレは馬鹿げた行為の意味を見い出そうと自問自答するが……答えなど見付かる筈も無かった…


オレは小さくため息を一つ吐き、缶コーヒーを一気に飲み干した…


『今から帰って…30分ほど寝たら仕事だ…』

オレは缶を屑カゴに放り投げメットを被る…

そして"X"に火を入れた!


相棒は猛々しいエンジン音を響かせながら、湾岸線を加速していった…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
随分長くなってしまった…。


つまりオレが言いたかったのは『スピードの出し過ぎに注意しましょう』ということだ…


   ― 完 ―
 
(SO903iTV/FOMA)
93 無名さん
オチがいいね
(N904i/FOMA)
94 無名さん
R33の彼女は?
(W33SA/au)
95 マシンX
>>94 R33の助手席にはブロンドヘアのダッチワイフが積まれていた…

彼女は悲しげに口をポッカリと開いていた…
(SO903iTV/FOMA)
96 無名さん
ありがとうございました
(N903i/FOMA)
97 無名さん
じゃあ X と走ってる時は片手だったってことになるよね…
(W33SA/au)
98 無名さん
>>95忘れてたね?
(N904i/FOMA)
99 無名さん
最高だったぜ…。
また聞かせてくれよ☆
(DRAPE/au)
100 無名さん
>>93-99(^o^)v
(SO903iTV/FOMA)